(実在の出来事・ニュースを題材としておりますが、それとは全くの関係はなく、文中の意見・登場人物・事件は完全にフィクションです。)
雑誌で取材するネタこそ若干の偏りがあるにせよ、世間のニュースが耳に入ってこない場所でもない。つまりは「仕事以外の時」は、他社のニュースを見たりする事もあるし、それに対して世間話をする事もある。まあ、なんというかその風景をちょっと皆さんにお見せしようかなと。
「いつか忘れましたが、ある記者の方が言われていましたよね。犯人はサイコパスのような人だって。ボクがそのものだと思うんです。」
静香さんと私は、テレビのワイドショーに見入っていた。
「でも、彼がサイコパスだとすると、私にもその気はあるのかもしれないわね……」
「編集長、なにを言い出すんですか。急に。」
確かに、急に。である。ただ、オモテに出てきていない情報を探るとなると、やはり非情な事をかつ相手に感づかれる事のなくさらりと言ってのけなければいけない事もある。特にウチが相手にしている取材先なんてのは、感情のスキを見せてしまったら駄目なのである。なにせ、仕事柄それと同じような風景を何度も見ている訳だ。表情や行動に揺らぎなんてあった時には、当然ながら疑ってかかる。昔……今の名前になる前と言った方がいいのだろうか。実際、それで一度失踪する事になったのだから。
(もっとも公式には長期間帰ってこない為に、失踪宣告を受けて死亡したと見做されているのだけど。)
ざっくりというと、自分が2人いるのだ。捨ててきた自分を含めると3人。解離性同一性障害、世間的によく呼ばれている名称でいうと多重人格なのだけど。世間的に失踪していた時に、受ける仕打ちから自らの身を守って生きるために、「特定の感情を人格として無意識に閉じ込めた」結果。無論、静香さんも有紀さんも、私を「買い上げた」ユウさんもその事は知っている。
伝えていない事といえば、その「失踪していた」間の話、失踪するまえの私がどうだったか。
「確かに、サイコパスというには、言葉の話し方に躊躇があるし、なにかストッパーといえる感情が動いているのは事実かもしれませんね。これも何かの意図があってわざとやっているのなら話は別ですけど。」
静香さんがそういうと、私は一拍置いた後にこう話した。
「それすら偽りで演じてる程のサイコパスなら、むしろこれで終わるのはおかしいかもね。もし私が彼なら、もう一段なにか仕掛けをつくっておくだろうから。……関係者が路頭に迷うような大きな仕掛けをね……。」
後で聞いた話ですが、この時の私の表情は不気味で怖い笑顔だったそうです。
雑誌で取材するネタこそ若干の偏りがあるにせよ、世間のニュースが耳に入ってこない場所でもない。つまりは「仕事以外の時」は、他社のニュースを見たりする事もあるし、それに対して世間話をする事もある。まあ、なんというかその風景をちょっと皆さんにお見せしようかなと。
「いつか忘れましたが、ある記者の方が言われていましたよね。犯人はサイコパスのような人だって。ボクがそのものだと思うんです。」
静香さんと私は、テレビのワイドショーに見入っていた。
「でも、彼がサイコパスだとすると、私にもその気はあるのかもしれないわね……」
「編集長、なにを言い出すんですか。急に。」
確かに、急に。である。ただ、オモテに出てきていない情報を探るとなると、やはり非情な事をかつ相手に感づかれる事のなくさらりと言ってのけなければいけない事もある。特にウチが相手にしている取材先なんてのは、感情のスキを見せてしまったら駄目なのである。なにせ、仕事柄それと同じような風景を何度も見ている訳だ。表情や行動に揺らぎなんてあった時には、当然ながら疑ってかかる。昔……今の名前になる前と言った方がいいのだろうか。実際、それで一度失踪する事になったのだから。
(もっとも公式には長期間帰ってこない為に、失踪宣告を受けて死亡したと見做されているのだけど。)
ざっくりというと、自分が2人いるのだ。捨ててきた自分を含めると3人。解離性同一性障害、世間的によく呼ばれている名称でいうと多重人格なのだけど。世間的に失踪していた時に、受ける仕打ちから自らの身を守って生きるために、「特定の感情を人格として無意識に閉じ込めた」結果。無論、静香さんも有紀さんも、私を「買い上げた」ユウさんもその事は知っている。
伝えていない事といえば、その「失踪していた」間の話、失踪するまえの私がどうだったか。
「確かに、サイコパスというには、言葉の話し方に躊躇があるし、なにかストッパーといえる感情が動いているのは事実かもしれませんね。これも何かの意図があってわざとやっているのなら話は別ですけど。」
静香さんがそういうと、私は一拍置いた後にこう話した。
「それすら偽りで演じてる程のサイコパスなら、むしろこれで終わるのはおかしいかもね。もし私が彼なら、もう一段なにか仕掛けをつくっておくだろうから。……関係者が路頭に迷うような大きな仕掛けをね……。」
後で聞いた話ですが、この時の私の表情は不気味で怖い笑顔だったそうです。