(フィクション)
2.だってメビウスですから…
なんの事やらよくわからない、取締役会が終わった後…。
「あ、ごめん。深雪さん、このあとチョット時間もらえる?」
「あ、はい。」
その辺は、普通の会社のようなのですが、ユウさんから「私のみ」にかかる呼び出しというと、半分はおおっぴらには言えない調査業務、半分は仕事上発生したトラブルに関する情報。どうやら今回は後者のようです。
「深雪の言った通りみたいよ。彼は今、例の施設の人形師の所にいるわね…。あなたも行ったことのある場所じゃない?」
ユウさんから渡された写真を見ると、確かに私の昔いた…正確には「処置」をされる為に収容されていた場所に違いありませんでした。
「ユウさん、確か彼は私が本誌に載せない事にしびれを切らして、FLAPの記者に情報の一部を流してしまったはずで、その記者も同様に拉致されているはずなのですが、そちらの記者の方は?」
「それはアナタの範疇でしょ?私ができる事は顧客の立場で、商品照会をしたまで。それ以上は判らないわ。一応、買取を持ちかけてみたけど、元職場だとアシがつきやすいから、お売りすることはできません。と言われたわ。」
そう。私もたまたまユウさんに見つけられた「元」商品。ただ、元々裏の世界で「飼う」事が目的のマーケットであるらしく、オモテにちゃんと出てこられるように工作をしたのはユウさん自身なのだけど。
「彼は、あなたの素性に感づいていて、覚悟の上でその世界の中に取材に飛び込んだ。それを止める権利は私達にはない。けど、巻き込まれた他社の記者であるあの子はどう?たぶん、そこまで覚悟してないんじゃないかしら。」
ユウさんは、軽く妖しい笑顔を見せたあと、続けてこう話した。
「あなたの事案だもの。あなたにどうこうって言わないわ。…でも、よく事情を知らないカタギをそのままにしておくのは、アナタのポリシーに反するわよね?」
「…はい。」
世の中、メビウスの輪のように裏と表は妙なところで繋がっている。今これを読んでいるあなたの世界でも同様で。だけど、私…いや、私のいるこの組織の周りでは目に見える範囲で表裏が繋がっている。
もちろん、この話には続きがあるのだけども、それはまた機会があれば。
-おまけ
深雪:「で、関係ないのですが、なんで突然私と有紀が結婚って事に?第一、モトの戸籍が公にでもなったりしたら、会社まるごと大変な事に…」
ユウ:「どうにかなるわよ。医者をごまかすなんてできないから、ちゃんと診断書も出してるし。それに偽造じゃないしね。それともなに?有紀の事、嫌い?」
深雪:「そういう訳じゃないですけど…。」
ユウ:「ならいいじゃない。婚姻の件は彼自身が言い出した事なのよ?彼の場合は別になんの工作の必要もなかったんだから。」
深雪:「それはどういう…」
ユウ:「さあ?それは初夜にベットの中ででも聞きなさい?」
深雪:「そんなのまだ無理ですよぉ…(泣)」
ユウ:「ふーん…。施設にいたときや、調査の際にそれなりの事をしてると聞いたけど…」
深雪:「…それはそれ。…です。」
ユウ:「そうよねー。好きな人の前だと違うわよねぇ-?」
深雪:「…」
(ここは月刊メビウス編集部/つづく)
2.だってメビウスですから…
なんの事やらよくわからない、取締役会が終わった後…。
「あ、ごめん。深雪さん、このあとチョット時間もらえる?」
「あ、はい。」
その辺は、普通の会社のようなのですが、ユウさんから「私のみ」にかかる呼び出しというと、半分はおおっぴらには言えない調査業務、半分は仕事上発生したトラブルに関する情報。どうやら今回は後者のようです。
「深雪の言った通りみたいよ。彼は今、例の施設の人形師の所にいるわね…。あなたも行ったことのある場所じゃない?」
ユウさんから渡された写真を見ると、確かに私の昔いた…正確には「処置」をされる為に収容されていた場所に違いありませんでした。
「ユウさん、確か彼は私が本誌に載せない事にしびれを切らして、FLAPの記者に情報の一部を流してしまったはずで、その記者も同様に拉致されているはずなのですが、そちらの記者の方は?」
「それはアナタの範疇でしょ?私ができる事は顧客の立場で、商品照会をしたまで。それ以上は判らないわ。一応、買取を持ちかけてみたけど、元職場だとアシがつきやすいから、お売りすることはできません。と言われたわ。」
そう。私もたまたまユウさんに見つけられた「元」商品。ただ、元々裏の世界で「飼う」事が目的のマーケットであるらしく、オモテにちゃんと出てこられるように工作をしたのはユウさん自身なのだけど。
「彼は、あなたの素性に感づいていて、覚悟の上でその世界の中に取材に飛び込んだ。それを止める権利は私達にはない。けど、巻き込まれた他社の記者であるあの子はどう?たぶん、そこまで覚悟してないんじゃないかしら。」
ユウさんは、軽く妖しい笑顔を見せたあと、続けてこう話した。
「あなたの事案だもの。あなたにどうこうって言わないわ。…でも、よく事情を知らないカタギをそのままにしておくのは、アナタのポリシーに反するわよね?」
「…はい。」
世の中、メビウスの輪のように裏と表は妙なところで繋がっている。今これを読んでいるあなたの世界でも同様で。だけど、私…いや、私のいるこの組織の周りでは目に見える範囲で表裏が繋がっている。
もちろん、この話には続きがあるのだけども、それはまた機会があれば。
-おまけ
深雪:「で、関係ないのですが、なんで突然私と有紀が結婚って事に?第一、モトの戸籍が公にでもなったりしたら、会社まるごと大変な事に…」
ユウ:「どうにかなるわよ。医者をごまかすなんてできないから、ちゃんと診断書も出してるし。それに偽造じゃないしね。それともなに?有紀の事、嫌い?」
深雪:「そういう訳じゃないですけど…。」
ユウ:「ならいいじゃない。婚姻の件は彼自身が言い出した事なのよ?彼の場合は別になんの工作の必要もなかったんだから。」
深雪:「それはどういう…」
ユウ:「さあ?それは初夜にベットの中ででも聞きなさい?」
深雪:「そんなのまだ無理ですよぉ…(泣)」
ユウ:「ふーん…。施設にいたときや、調査の際にそれなりの事をしてると聞いたけど…」
深雪:「…それはそれ。…です。」
ユウ:「そうよねー。好きな人の前だと違うわよねぇ-?」
深雪:「…」
(ここは月刊メビウス編集部/つづく)